Jivin' Jacks and Jills外伝 「ヘレン・スタンレーを探して」 ― 2007年06月22日 00時51分00秒

Jivin' Jacks and Jillsついでに、つまらない話をひとつ。
Jivin' Jacks and Jillsの存在をはじめて知ったのは、数年前、ジョン・ヒューストン監督の「アスファルトジャングル」(MGM 1950)を見たことがきっかけです。もちろんこの傑作フィルム・ノワールに彼らが出演しているわけではありません。
映画のストーリーは、数人の男たちが宝石泥棒を計画するが、互いの思惑がぶつかり、誤算から犯行は失敗に終わるというもの。首謀者は、刑務所帰りのリーデンシュナイダー という五十絡みの男。頭が良いことから皆に「ドク」と呼ばれ、一目置かれています。
終盤、警察から逃げる途中、町外れの小さな食堂に立ち寄った彼が見かけたのがこのダンス好きの女の子(写真)。踊り続けたいのに、連れの男の子ともどもジュークボックスに入れるお金がありません。不満そうな様子を見たドクは有り余るほどの小銭を渡し、好きなだけ踊るよう伝えます。楽しげに一人踊る彼女を舐めるように見つめるドク。いつの間にか建物を包囲する警察。最後はあえなく御用・・・・・・・となるのがこのシークエンス。
名作、傑作といわれる作品は、すべてのシーンに観客を納得させる力があるものですが、この映画もその例にもれません。急がねばならないドクがつい時間を浪費してしまうだけの説得力があるのです。 ドクと同じ気持ちで観客がこの女の子を見てしまう・・・・・・・・ある種、フェティッシュな感覚を呼び起こさせるセクシーさを、この女性(のダンス)は発散しています。
見終わった後も気になり、彼女の名前を知ろうとしましたが、小さな役なのでクレジットに名前がありません。そこでIMDbで配役を調べると「ジーニー:食堂の女の子」という役名があって、どうもこれらしい。演じているのがヘレン・スタンレー(Helene Stanley)です。
記載されている経歴によると、
「1929年生まれ。14歳のとき映画デヴュー。1943年から45年にかけユニヴァーサルで働くが、この間、Jivin' Jacks and Jillsの一員として、”Moonlight in Vermont ”(1943)や”Patrick the Great ”(1945)に出演。
1945年から50年にかけてはMGMを中心に、1952年には二十世紀フォックスに出演するが、結局たいした役はつかなかった。
MGM最後の出演作が『アスファルトジャングル』。クレジットに名は載らないものの、もっとも記憶に残る役柄となった。ドクの破滅のきっかけを作るセクシーなティーンエイジャー役である。」
ここでJivin' Jacks and Jillsとは何だろうと思い調べたことが、彼らを知るき
っかけになったのです。
まあ、Jivin' Jacks and Jillsの話はこれだけなんですが・・・・・・・・・・。
つまらぬ話はまだ続きます。
さてこれだけの記載があれば、上の写真がヘレン・スタンレーと考えてまず間違いないのでしょうが、あいにくIMDbには彼女の顔写真が載っていません。
「万が一違っていたら」と不安に思った私は、ネット上で彼女の写真を探します。しかし苦労の末多少歳をくった頃の写真が見つかったものの、似ているような似ていないようなで、もう一つ自信が持てません。
しかしまだ手がかりは残されています。
経歴の続きです。
「彼女の実写フィルムでのキャリアは1954年の”Carnival Story”で終わるが、第二のキャリアが、観客の目に触れないにもかかわらず、彼女を有名にした。ディズニーのアニメーション制作の過程で作られる実写版で、「シンデレラ」(1950)や「眠れる森の美女」(1959)を、そして「101匹わんちゃん大行進」(1961)の若妻を演じたのである。
興味深いことに、批評家の中にはシンデレラが「色っぽすぎる」と不満をもらす者がいた。同じディズニーのテレビシリーズ「デービー・クロケット」では妻のポリーを演じた。」
なんか、すごい秘密をにぎったようでうれしい反面、「さてこれ以上どう調べたらいいのか・・・・」と思っていたところに、ちょうど「シンデレラ」のDVDが発売されたのです。アニメに興味はないが、何か手がかりはないかと買ってみたところ・・・・・・・・・・
ありました!!!。
特典映像の中に実写版のスチール写真が。まさしく彼女でした。顔と名前が一致して一安心。
ところがそれだけではありません。
テレビ番組「ミッキーマウスクラブ」の映像(1956年)で、彼女自身が共演した子供たちに、「私がシンデレラのモデルになったのよ」と語っているではありませんか。秘密だと思って喜んでいたのに、テレビで話すようなまったくオープンな話だと知って今度はがっかり。
ところで、
彼女は1959年にビバリーヒルズの内科医と結婚。1961年に子供が出来ると芸能界を引退し、1990年に亡くなるまで幸せに暮らしたらしいのですが、これは二度目の結婚。
実は1953年から55年にかけてあの Johnny Stompanatoと最初の結婚をしているのです。 Johnny Stompanatoといえばマフィアの親分の用心棒をつとめたこともある、悪名高いジゴロ。後にラナ・ターナーと付き合い、1958年、彼女の娘に刺し殺された事件は、その後の裁判も含めてハリウッド史に残る大スキャンダルです。
しかしシンデレラとマフィアの結婚というのもすごい。
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